アトキンスダイエットとは、ロバートアトキンスが考案した炭水化物の摂取量を控えるダイエット法であり、低炭水化物ダイエットやローカーボダイエットとも呼ばれている。
炭水化物(糖質)の摂取量を減らすことで脂肪をエネルギー源とするようになり、体脂肪を減らすことができるという理論によるものである。
アメリカでブームとなり、そのブームは日本だけでなく世界の国々にも広まったが、炭水化物の摂取量が少なすぎることによる副作用が生じることから、長期的に続けると健康に悪影響を及ぼす可能性があると報告されている。
炭水化物を摂取すると血糖値が上昇し、インシュリンというホルモンがすい臓から分泌される。
インシュリンは、血糖値を下げる働きがあるが、筋肉などに蓄えきれなくなると、脂肪細胞に中性脂肪として蓄積してしまう。
また、インシュリン抵抗性が高まると、インシュリンを多く作るようになってしまうことから、体脂肪を蓄積しやすくなる。
このインシュリン抵抗性は肥満であるほど高まるが、インシュリンが多く作られるために低血糖になりやすくなると、食欲が増進されて肥満をさらに悪化させてしまう。
このことから、炭水化物の摂取を減らして血糖というエネルギー源が体内に不足した状態を作ることで、脂肪を燃やしやすい状態を作り、体脂肪を蓄積しやすい体質を改善できるとされている。
インシュリンの作用や、インシュリンの糖尿病や肥満との関係について詳しく紹介している。
アトキンスダイエットは、段階によって摂取しても良い炭水化物の量が異なる。インシュリン抵抗性には個人差があるため、炭水化物摂取量は目安であり、自分に適した量をみつけながらダイエットを進めていく。
炭水化物の摂取量を20g以下に減らす。
主食であるごはんやパン、麺類などは摂取せず、野菜に含まれている炭水化物のみを摂取する。
脂質やたんぱく質の摂取量の制限はなく、炭水化物を減らし、腹八分目の食事を心がける。
また、カフェインを摂取しないようにし、栄養バランスを保つため、サプリメントの摂取が推奨されている。
(この段階で、体内の血糖が不足し、体脂肪をエネルギー源とするようになるとされる。)
炭水化物の摂取量を40g程度に増やす。
炭水化物の量を5gずつ増やし、炭水化物を摂取しても体重が減少する量を見つけ、その炭水化物量を維持する。
玄米などの炭水化物の摂取を始めることもある。
体重が減少して、目標とする体重になったら、炭水化物の量を増やし、減量ペースを落とす。
炭水化物の摂取量を体重が増加しない量に保ち、果物や玄米、そばなどの炭水化物の摂取を少しずつ始める。
砂糖を使ったお菓子やジャンクフード、はちみつ、白米などは摂取してはいけない。
アトキンスダイエットは、炭水化物の摂取量を減らすため、たんぱく質や脂質の摂取割合が高くなりやすく、健康に悪影響を及ぼす可能性がある。
たんぱく質の多い食事は腎臓疾患のリスクを高める可能性があり、脂質(特に飽和脂肪酸)の多い食事は冠状動脈性の心臓病のリスクを高める。
また、炭水化物を含む食品を控えることで、栄養バランスが崩れやすくなる。
「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、18歳以上では1日に必要なエネルギー量の50~70%を炭水化物の摂取目標量としているが、アトキンスダイエットでは20g以下まで炭水化物摂取量を抑える。これは必要なエネルギー量の10%にも満たない量である。
健康維持のためには、炭水化物を減らすのではなく、炭水化物を基礎とした食事が勧められている。
アトキンスダイエットでは、口臭や体臭がケトン体特有の臭いになるという問題点もある。この臭いは、ダイエット臭とも呼ばれ、アトキンスダイエットに限らず、極端なダイエットを行なうと起こる場合がある。
低血糖によってケトーシスという状態になり、体内にケトン体が多量に作られることが原因である。
低炭水化物ダイエットの方法や危険性について紹介する記事。