タンパク質のアクチンは、さまざまに構造を変えて細胞の活動を支えている。
アクチンは、真核生物の体を形成する全ての細胞内に存在するタンパク質。アクチン1つ1つはビーズのように丸い形をしているが、糸のように細長く連なったり(アクチンフィラメント)、両先端が結合して輪っか状(アクチンリング)になったりなど、さまざまな構造に変化する。アクチンの代表的な働きである筋収縮は、アクチンフィラメントがミオシンの加水分解で生じたエネルギーに刺激を受けることで起こる。またミオシンとの相互作用で細胞に溝を作って細胞分裂を起こしたり、神経細胞の先端を伸ばしたりなど、細胞のさまざまな活動に大きく関与する。
アクチンは、人間や動物(真核生物)の体を形作っている全ての細胞のなかに存在しているタンパク質。
1942年にハンガリーの生化学者ストラウプ氏が筋肉線維より見つけた。
アクチンの働きは「ミオシンと協力して筋肉を収縮させる」が代表的だが、筋収縮だけに限らず、細胞の形の維持、細胞分裂、神経細胞の先端の伸長など、細胞のさまざまな活動を支えている。
顕微鏡を介してアクチンを見ると、ビーズのように球形をしており、これをGアクチンという。
Gアクチンがネックレスのようにいくつも繋がって、2本がらせん状に捩り合わさったものを、アクチンフィラメントもしくはアクチンフィラメントを略してFアクチンという。
アクチンは、アクチン同士で頻繁に結合(重合)や分離を行っている。
また直線的なアクチンフィラメントの構造になるだけでなく、両先端が結合したアクチンリングという輪っか状の構造になることもある。こうしたアクチンの自在な変化により、細胞はさまざまな活動を行うことができている。
※アクチンフィラメントのフィラメントには、細い糸や繊維という意味がある。
アクチンと共によく名前の上がるミオシンは、ATP(アデノシン3リン酸)を加水分解する作用がある。
ミオシンが加水分解する際に生じるエネルギーがアクチンフィラメントを刺激すると、筋肉は収縮の動きをする。
細胞の中心部がひょうたんのようにくびれると、細胞が2つに分離する細胞分裂が起きる。
細胞のくびれは、細胞膜の近くに集まったアクチンフィラメントにミオシンが接触して、細胞が収縮することで引き起こされる。
神経細胞からは細長い糸状のものが伸びており、先端はアメーバのようになっている。
先端部分のことを成長円錐といい、成長円錐のなかにはアクチンリングでまとめられた十数本のアクチンフィラメントがある。アクチンフィラメントの束が伸びて筋肉などの細胞に接続されると、筋肉を曲げ伸ばしたりなど、体の各組織はさまざまな活動を行うことができるようになる。