パントテン酸はビタミンB5とも呼ばれ、補酵素のコエンザイムAなどを構成する水溶性ビタミンである。クエン酸回路に関与しエネルギー代謝を支える重要な物質であり、不足すると、頭痛・抜け毛・手足の麻痺など多彩な症状が表れるほか、成長停止やバーニングフィート症候群、副腎疾患を発症することがある。しかし何処にでもと言えるほど多くの食品に含まれるため、普通に食事していれば欠乏症に陥ることはまずない。
パントテン酸は、多くの食品に含まれる水溶性ビタミンの一種
パントテン酸はビタミンB5とも呼ばれ、水やエタノールに溶ける水溶性ビタミンの一種である。
補酵素のコエンザイムAやホスホパンテテインを構成している誘導体でもある。
パンテトン酸という名前は、ギリシャ語で「何処にでも存在する酸」と訳すことができる。
名前の意味どおり、何処にでもと言えるほど多くの食品に含まれているため、普通に食事をとっていれば摂取不足による欠乏症を引き起こすことはまずない。
エネルギー代謝を支える重要な物質である
パントテン酸は、クエン酸回路(TCAサイクル)や脂肪酸の合成・分解に大きく関与している。
パントテン酸を体内に取り入れると、エネルギー代謝がスムーズになされるようになり、体の各臓器・組織が正常に機能するようになる。つまりパンテトン酸は、生命の維持活動を支える重要な物質なのである。
食品に含まれているパントテン酸は、そのほとんどがタンパク質と結びついている。
しかし調理や加工の際に、あるいは胃酸の作用によってタンパク質と離れ、小腸から分泌される消化酵素に分解・吸収されたのちに、脳、腎臓、脂肪組織など体のさまざまな場所に運ばれてゆく。
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パンテトン酸が不足すると多彩な欠乏症状が表れる
パントテン酸の欠乏症状は、頭痛、めまい、抜け毛、不眠、食欲減退、手足の麻痺や痛み、疲労感など多彩である。成長ホルモンの減少や灼熱脚症候群(バーニングフィート症候群)、副腎疾患を引き起こすこともある。
副作用はないが大量摂取は避けるのが望ましい
パントテン酸の大量摂取に関しては、重篤な副作用が表れたなど深刻な健康被害は報告されていない。
口からの摂取10gまであれば安全性が示唆されている。ただし人によってはお腹を下す場合があり、また妊婦や授乳中にある者も安全保障がされてないため、大量摂取は避けるのが望ましい。
なお、腸閉塞(イレウス)にかかっている場合は、デクスパンテノール注射をしてはならないとされている。
デスクパンテノールとは、パントテン酸欠乏症の予防・治療目的で用いることが認められている医薬品である。
パンテトン酸の摂取目安量と、パンテトン酸を多く含む食品
RDA(推奨栄養所要量)では、パントテン酸の1日の摂取目安量を、成人男性5~6g、成人女性5gとしている。
ここでいう成人とは、18歳以上を指す。パントテン酸を多く含む食品には、以下のようなものが挙げられる。
※たらこ、挽きわり納豆、黒砂糖以外はいずれも生