白色脂肪細胞は、脂質や糖分を体にためこみ活動のエネルギー源とする脂肪細胞。
思春期ごろ大幅に増えるが、ためこみすぎると大人になってからでも増数する。
白色脂肪細胞が増大すると、善玉物質が減るかわりに悪玉物質が増え、生活習慣病にかかりやすくなる。
しかし防寒やエネルギー供給など重要な働きもする細胞なので、少なすぎてもよくない。
また適度な数があれば善玉物質が正常に分泌されて、増大した時とは反対に生活習慣病を防いでくれる。
白色脂肪細胞は、エネルギー(中性脂肪)を体にためる働きをする
脂肪細胞には大別して2つの種類あり、それぞれを白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞という。
そのうちの1つ白色脂肪細胞は、食べ物を摂取して血液中に流れ込んだ脂質や糖分をとりこみ、それらを活動のためのエネルギー源(中性脂肪)として体にためこむ働きをもっている。
成長に伴い増数し、大人になると400億も存在するようになる
褐色脂肪細胞が体の特定の場所にのみ存在するのに対し、白色脂肪細胞は皮下組織や内臓のまわりなど体のさまざまな場所に広く存在する。
また白色脂肪細胞は、生き物の成長に伴って増数する。
特に思春期ごろに大幅に増える特徴をもっており、大人になると約400億もの白色脂肪細胞が体に存在するようになると言われている。
以前は白色脂肪細胞は、成人になると増数しないものと定義されていたが、近年の研究でそれは正しくないことが判明している。
実際は成人してからでも脂肪を大量にためこむことで、どんどん数が増えていく。よって肥満の人の体には、肥満でない人よりはるかに多くの白色脂肪細胞が存在している。
また白色脂肪細胞は脂肪をためこむと、増数するだけでなく1つ1つのサイズも大きくなる。
白色脂肪細胞が増大すると、善玉物質が減り悪玉物質が増える
白色脂肪細胞が増数し大きくなるとアディポネクチンの分泌量が減り、そのかわりにTNF‐αの分泌量が増えてしまう。
アディポネクチンは善玉のアディポサイトカイン(生理活性物質)で動脈硬化を防ぐ力があり、TNF‐αは悪玉のアディポサイトカインで血糖値をコントロールするインスリンの働きを鈍くする作用がある。
また血圧を上昇させる悪玉のアンジオテンシンIIの分泌量も増えてしまうことが分かっている。
すぎると生活習慣病リスクが増し、適度ならば反対にリスクが減る
多すぎると動脈硬化、糖尿病、高血圧の元凶になる白色脂肪細胞だが、少なければよいというものでもない。
白色脂肪細胞がためた脂肪は、体を冷えから守る、活動時に体にエネルギーを供給する、内臓を正しい位置に維持する、女性ホルモンのエストロゲンを機能させるといった重要な役割を果たすので、適度な数は体に存在していなければならない。
適度数であれば、善玉のアディポネクチンが正常に分泌されるようになり、増大した状態とは反対に動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病にかかりにくくなるため、その意味でも不可欠といえる。