善玉のアディポサイトカインを増やせば、生活習慣病や肥満を防げる!
脂肪細胞から作り出される生理活性物質をまとめて、アディポサイトカインという。アディポサイトカインは、健康維持に役立つ善玉の性質をもつものと、病気リスクを高める悪玉の性質をもつものとに二分できる。善玉のアディポサイトカインにはレプチンとアディポネクチン、悪玉のアディポサイトカインにはTNFα、PAI-1、アンジオテンシノーゲンが該当する。善玉のレプチンには食欲抑制、アディポネクチンには動脈硬化予防の効果があるので、睡眠を十分に摂る・青魚などEPAの多い食品を摂るなどして、それぞれの分泌量を安定させておきたい。
アディポサイトカインとは、脂肪細胞で作られて分泌される生理活性物質のこと。
アディポサイトカインには多くの種類があるが、病気から健康を守る善玉アディポサイトカインと、生活習慣病リスクの上昇など体に良くない働きをする悪玉アディポサインとに大別することができる。
レプチンは、中性脂肪の蓄積にともなって分泌量が増加し、脳の満腹中枢に働きかけて食欲をストップさせる。
ただし中性脂肪の蓄積が多くなりすぎると、レプチンの分泌量が増えても満腹中枢がそれに応えられなくなり、食欲が止まらなくなって結果的に肥満になってしまう。
脂肪細胞から分泌されるホルモンのレプチン。睡眠時間をたっぷりとると分泌が安定し、食欲を抑えたり脂肪燃焼率をアップさせたりしてくれます。ダイエットを助けてくれる重要な物質なので、寝不足で台無しにしてしまわないよう注意!
アディポネクチンは、血管の傷を治したり血圧を降下させたりすることで、動脈硬化のリスクを低くする。
またインスリンを効きやすくして分泌器官である膵臓の負担を小さくし、糖尿病を発症しにくくする。
ただし内臓脂肪がつきすぎると、分泌量が少なくなってしまうので、逆に動脈硬化や糖尿病の危険度が高くなる。
TNF-αは、糖代謝をコントロールする重要なインスリンを効きにくくする物質。
内臓脂肪の蓄積にともなって分泌量が多くなる特徴があり、分泌量が多くなると糖尿病のリスクが増す。
PAI-1は、タンパク質分解酵素のプラスミンが、血栓を溶かすのを邪魔する物質。
内臓脂肪量が増えると、PAI-1の分泌量も増すので、血栓が形成されやすくなってしまう。血栓が形成されやすくなると、血栓に起因する脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こしやすくなる。
アンジオテンシノーゲンは、タンパク質の一種アンジオテンシンの分泌を盛んにする。
アンジオテンシンは血圧を上げる物質なので、内臓脂肪の増加でアンジオテンシノーゲンがたくさん分泌されるようになると、高血圧症を引き起こしやすくなる。
善玉のレプチンは、十分な睡眠時間(1日7~8時間)を確保することで、分泌を安定させることができる。
同じく善玉のアディポネクチンは、EPAがたくさん含まれる青魚を食べると、分泌量を増やすことができる。
善玉アディポサイトカインを増やすと、生活習慣病予防のほか太りにくくなるメリットも得られる。