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ダイエットワード

過食嘔吐

食べては吐く、を繰り返すと心不全で命も落としかねない!

過食嘔吐とは、摂食障害の症例の一つである。過剰に食べてすぐに自身で嘔吐してしまう症状を言う。
過食と嘔吐症状を伴う摂食障害は以下に分類される

1.AN(anorexia nervosa) 神経性無食欲症

  • 「制限型」
    徹底的に食べない
  • 「むちゃ食い/排出型」
    制限型とは正反対に過剰に食べるが不適切(不自然)な排出行為で低体重を維持する

2.BN(Bulimia nervosa) 神経性過食症(神経性大食症

「排出型」と同様に食べ物の過剰摂取を繰り返し、排出行為も行うが「低体重」に至らないのが特徴。

また、「特定不能の摂食障害(EDNOS)」というどちらにも明確な分類が難しい症例もあり、過食と嘔吐を伴うものも含まれている可能性がある。

過食・嘔吐へ走らせる「痩せたい願望」

「痩せたい」「スリムな体型を維持したい」という願望から発症することが多く、太っている人に限らず、既に誰が見ても痩せている「低体重」といわれる人も、太ることへの恐怖心などから陥りやすい障害である。

摂食障害(全体)の患者数は1980年~2000年の間で約10倍も増加している。

1990年代後半における
5年間の増加推移(過食・嘔吐を伴う症状)
種類 増加量
AN 約4倍 (10代の発症が多い)
BN 約4.7倍 (20代の発症が多い)

上記は、医療機関に診察に訪れた数のみで算出しているため、実際にはこれ以上の増加があると考えられている。
また、発症するのは男女比で女性が90%以上と言われているのも特徴である。

発症の要因

摂食障害は、心理的、社会・文化、生物学的な要因が関連して発症すると考えられている。

・心理的

AN:完璧主義/強迫性
BN:不安/抑うつ

1950年、半飢餓研究で若い志願兵に半年間で平均25%体重を減少させる食事制限を行った。その結果、もともと健康な人でさえ、抑うつ、過敏性、易怒性、不安、強迫性、自己評価の低下等が認められたという。

・社会・文化的

テレビや雑誌等で「モデル体重」と言われる細身(BMI基準で痩せ)体型の女優やモデルなどが活躍し、「痩せていることが美しい」という社会の流れがある。肥満を避ける傾向になり、強い痩せへの憧れ(願望)が影響する。
痩せ薬やサプリメント、エクササイズ器具など、体型をスリム化するための様々な商品広告が溢れ、それらを目にする機会も増えることで、より一層、願望は掻き立てられる。

・家族環境

家庭不和(両親の別居、離婚、両親との信頼感・親密さの欠如など)や勉強やスポーツ、習い事などの結果に過度の期待を掛けられる。また、家族との体型・体重比較(姉妹など)や、体型への批判なども要因と考えられている。

上記の要因が揃うことで必ずしも発症するものではない。遺伝的要素が関連する場合もあると言われている。

それぞれの症状の比較

AN(神経性無食欲症)

  • 体重が著しく減少していても(既に痩せていても)「体重○○kg、ウエスト○○cm以下でなければ許せない」といった、体重や体のサイズへの異常な執着心をあらわす。
  • 更に痩せを求めて食事制限や嘔吐、下剤や利尿剤などを用い、食べたもの、飲んだものを徹底的に排出しようとする。
  • 「盗み食い」や「隠れ食い」をする。

肥満や太ることに強い恐怖心があり、「スカートのウエストがきついから人前に出たくない」など、体型のちょっとした変化も許せず、強迫症状から外出を避け、人との接触を拒むこともある。
一方で、痩せ願望を否定し「私は太りたいのである」という意思を周囲に示すものも存在する。しかし太るために食べるといった行為もなく、痩せるための行為を継続するなどの矛盾した行動から診断が可能と言われている。

BN(神経性過食症)

  • 適量の食事摂取コントロールが出来ず、大量のお菓子やご飯を一気に食べる(むちゃ食い)ことを繰り返す。
  • 過食による体重増加を恐れ、嘔吐や下剤を服用して排出する。他には、食事制限や絶食をすることもある。

食事制限により、目標としている「痩せ」を達成できないと自己不全感や、繰り返し行ってしまう過食後の体重増加への恐怖・不安感、過食そのものへの罪悪感を持つ。

過食嘔吐を繰り返すことで懸念される危険な行為

  • 自傷行為(リストカット、自身の体を引っ掻く、叩く等)
  • 自殺を企てる
  • 薬物やアルコールの乱用
  • 万引き
  • 逸脱した性的な衝動行動

嘔吐を伴わない「制限型」との比較では、このように自己破壊的な行為が目立つのは、過食に嘔吐が伴うケースとされている。

過食嘔吐によって危険な症状があらわれる体の部位

  • 心臓・循環器系
  • 消化器系
  • 血液系
  • 内分泌・代謝系
  • 口腔内
  • 皮膚

これ以外にも、低体重の「AN神経性無食欲症」の人は極端な体重減少や低栄養状態により、全身のあらゆる箇所に障害が起こり、ときには生命へ危険が及ぶこともある。

標準体重」で一見、身体的な問題には気づきにくい「BN 神経性過食症(神経性大食症)」の人の場合も、排出(嘔吐・下剤乱用)などを日常的に行うことで生命を脅かす危険が潜んでいることも十分、考えられる。

両者とも、嘔吐物に含まれる胃酸により歯のエナメル質が溶解したり、食道の炎症、電解質(K、Na)異常にともなう不整脈、無月経などの月経異常、他にも危険な症状を発症する可能性が高まる。

完全に克服するまでは長期間を要することもある

過食嘔吐の治療は、精神科や心療内科で行われる。
外来で家族を交えてカウンセリングを中心に治療(必要な場合は薬物治療を並行することもある)を行ったり、症状が重篤(低カリウム血症、自傷行為、急激な体重減少等)な場合は入院治療も行う。

「AN」の場合は、一過性のものや長期的に治療が必要なケースもある。初発年齢や体重減少度、親子関係、演技性等、様々な要因が克服(治癒)に影響する。

また、日本国内の狭域でのフォローアップ調査によると、嘔吐などの行為がある「AN患者」の退院5年後の死亡率が約15%と完治の難しさがうかがえる。「BN」に関しては、予後の報告がなく、今後の解明が課題とされているが、死亡率は高くないと想定されている。

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コメント

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