一念発起して「毎日日記をつける」と張り切っていたものの、気が付けば三日坊主で終わってしまった…という経験がある人は多いのではないでしょうか。最初のうちは、楽しさが面倒くささを上回っているのですが、回数を重ねるうちに楽しさは薄れ、ただ面倒くさくなっていくことが原因です。
このような三日坊主の心理はダイエットでも見られ、継続断念によるダイエット失敗を引き起こしているのです。
人には与えられた仕事や場所などの環境に自分自身を適応させる「順応」という機能があります。暗い所でも、目が馴れて周りが見えるようになるのも順応の一種です。
しかし、環境に完全に順応してしまうと、環境から受ける刺激が低くなってしまいます。環境からの刺激は緊張感を保つ為に欠かせない要素で、緊張感が薄れてくると環境に対して飽きるようになり、仕事の質の低下などを引き起こします。
このような環境や物事からの刺激が低下することによって飽きてしまうことを心理学用語では「馴化」または「心的飽和」といいます。
ダイエットにおいても、この馴化と心的飽和が大きく作用しています。ダイエットを開始した当初は、食事制限や運動など何をするにも充実感や興奮を覚えていたものです。しかし日を重ねるにつれて感情は薄れ、ダイエットへの努力が「ただ意味も無く繰り返す行為」へと変化していきます。そうなってくると、「なんだか面白くない」「別にやらなくてもいいか」と考え、食事制限や運動をサボりがちになっていきます。最終的には「効果が出ないから止めた」と周りに弁明してダイエットを打ち切ることに繋がるのです。
飽きる心理の働きは、いわゆる「ルーティンワーク」と呼ばれる「マニュアルの通りに動くような、動き方が一から十まで決まっていること」に順応することによって機能しています。
つまり、変化がほとんど起こらないことを続けていると、受ける刺激はどんどん弱まっていき、最後には飽きてしまうということです。ダイエットの場合は一食置き換えや食品制限、毎日の運動など定型化した手法、ある意味ではルーティンワークになりやすい要素が多く、意識していても飽きてしまうことが多いのです。
ダイエットが継続できない原因となる心理には「諦め」があります。いくらダイエットを頑張っても効果が出ない人は、やがてダイエットのために努力することが無駄だと学習し、やせる努力すらしなくなります。
このように、「長期に渡って自分を苦しめるストレスを回避できない状況に置かれた場合、状況から脱出するための努力さえもしなくなる」ということを心理学では「学習性無力感」といいます。
ダイエットの場合、方法が間違っていると努力を続けても結果が出ないことはしばしばあります。そのため、人によっては学習性無力感によって「ダイエットを始める、継続することは無駄である」と考え、肥満体型のままで居ることをよしと考えるようになってしまうのです。