ペプチドとは、アミノ酸が2つ以上結びついたもののこと。ホルモン作用・神経伝達・抗菌など重要な働きをするが、2個結合したペプチドは血圧を安定させる、29個結合したペプチドは血糖値を上げるなど、結合数によって働きはさまざま。大豆に含まれるペプチドは吸収されやすく効果的に筋力アップできるので、ダイエットに役立つ物質として注目されている。またペプチドは、がんを小さくするなど、がんに有効な薬となる可能性も秘めている。
アミノ酸が2つ以上結びついたものを、ペプチドという
アミノ酸同士が2つ以上結びついているものを総称してペプチドという。
食品などからタンパク質を摂取すると、体内で分解されてペプチドとなり、さらに細かく分解されると最小単位のアミノ酸となる。
ペプチドは、私たち人の体内において、ホルモン作用・神経伝達・抗菌など、健康を維持するためのさまざまな重要な働きをする。ペプチドはアミノ酸の結合数によって、以下のように呼び方が異なり、また働きも異なっている。
- アミノ酸が2つ結合したフェニルアラニルチロシンは、血圧を上げるACEの作用を抑えて、血圧を安定させる
- アミノ酸が5つ結合したエンケファリンは、脳のなかで鎮痛の働きをする。
- アミノ酸が9つ結合したオキシトンは、子宮のなかで陣痛を起こしたり強くしたりする。
- アミノ酸が29個結合したグルコガンは膵臓で産生され肝臓に作用し、空腹時の血糖値を上げる。
大豆に含まれるペプチドに、高いダイエット効果を期待できる
ペプチドは、ダイエットに役立つ物質としても注目されている。
ペプチドは体内で分解される前は、タンパク質の形で、肉や魚などさまざまな食品に含まれているが、特に大豆に含まれているペプチドに高いダイエット効果が期待されている。
大豆ペプチドは体内に吸収される速度が速く、筋トレなど運動後に摂取すると、スピーディに筋肉の損傷修復を行う。筋肉の修復が速いと効果的に筋肉を増強することができ、筋肉が増強されると体脂肪をエネルギーとして燃やす力も強くなるので、結果としてダイエット効果につながる。
ペプチドは、がん治療にも有効な可能性を秘めている!
ペプチドは、がんに対する有効な治療薬となり得る可能性もあり、近年は『がんペプチドワクチン療法』という新しい治療法に期待が寄せられている。がんペプチドワクチン療法の内容は、ペプチドを含むワクチンを投与することによって、免疫を担うリンパ球のキラーT細胞の働きを活発にし、がん細胞への攻撃を強化するというもの。
臨床試験では、いくつかの症例において、がん縮小・がん悪化抑制・生存率の上昇の成果を得られているが、未だ研究段階にあり、効果の確実性や副作用のリスクという課題が残っている。