アルファリノレン酸(α-リノレン酸)とは、炭素数が18であり、二重結合を3つ持つ不飽和脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)の一種である。
二重結合の場所が違い、構造の異なる化合物にガンマリノレン酸(γ-リノレン酸)がある。
人間の体内で生成されない脂肪酸であり、必須脂肪酸の一つでもある。
アルファリノレン酸の体内での変化
アルファリノレン酸は、体内に入るとエイコサペンタエン酸(EPA)に変化し、さらにドコサヘキサエン酸(DHA)に変換されるが、アルファリノレン酸からエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸に変換されるのは、10~15%程度とされる。
アルファリノレン酸の効果
アルファリノレン酸は、心臓血管系疾患の予防やアレルギーの改善、高血圧の予防などに効果があるとされる。
アルファリノレン酸を食品から摂取することで、心筋梗塞のリスクが低下するという報告もある。しかし、サプリメントで摂取した場合に、同じような効果が得られるかどうかは明らかになっていない。
アルファリノレン酸を多く含む食品
油、ドレッシングなどで摂取できる
アルファリノレン酸
アルファリノレン酸は必須脂肪酸であるため、食品で摂取する必要がある。
アルファリノレン酸や油脂類だけでなく、えごまやくるみなどの種実類、マヨネーズやドレッシングなどの調味料、ポテトチップスやかりんとうなどの菓子類などに多く含まれている。
アルファリノレン酸を多く含む油脂類
アルファリノレン酸を多く含む油脂類は次の通りである。
アルファリノレン酸が多い油の種類と含有量
油脂類 |
αリノレン酸の含有量 |
なたね油 |
7500mg |
大豆油 |
6100mg |
米ぬか油 |
1200mg |
とうもろこし油 |
760mg |
食品100g当たりに含まれる数値を示す
アルファリノレン酸を含む油脂類の酸化
アルファリノレン酸を多く含む油脂類は酸化しやすく、品質が悪くなりやすいというデメリットもある。
熱・光・空気が酸化の原因となるため、保存には注意が必要である。
また、加熱によって高温になると、酸素と反応して過酸化脂質となってしまうため、加熱調理よりもドレッシングなどの利用に適している。
過酸化脂質
過酸化脂質とは、酸化した脂質の総称である。
過酸化脂質を大量に摂取すると、嘔吐や下痢、吐き気、胸やけなどを起こす。
また、動脈硬化につながるとの指摘もある。
アルファリノレン酸の摂取目標量
アルファリノレン酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などと共にn-3系脂肪酸と呼ばれているが、n-3系脂肪酸の1日当たりの摂取目標量は次の通りである。
また、摂取目標量のうち、EPAとDHAで1g以上になることが望ましいとされている。
n-3系脂肪酸の1日当たりの摂取目標量
年齢 |
性別 |
男性 |
女性 |
18~29歳 |
2.1 g以上 |
1.8 g以上 |
30~49歳 |
2.2 g以上 |
1.8 g以上 |
50~69歳 |
2.4 g以上 |
2.1 g以上 |
70歳以上 |
2.2 g以上 |
1.8 g以上 |