さまざまな健康効果で注目されているコエンザイムQ10の化学構造。
コエンザイムQ10(CoQ10)とは、動植物の体内で合成される脂溶性のビタミン様物質のことで、ユビキノンやビタミンQ、補酵素Qなどとも呼ばれる栄養素である。
健康効果や美容、アンチエイジングなどに期待されているサプリメントとしても知られている。
コエンザイムQ10は、約60兆個にもなる体内の細胞すべてに存在し、人間が生きていくうえで必要な「エネルギー生成」の約90%に補酵素として関係しているとされている。
したがって、ダイエット中の人がエネルギー生成のプロセス(脂肪燃焼など)でコエンザイムQ10が不足しないようにサプリメントによって補う場合も多い。
名前の由来
コエンザイムとは日本語で「補酵素」を表し、酵素を補助する役割を持つ物質のことである。Q10のQはキノン(Quinone)という化学構造を持つことに由来し、10は分子中のイソプレンという構造の繰り返し数を表している。
コエンザイムQ10の効果
コエンザイムQ10の美肌効果はダイエット中の女性にも期待されている。
コエンザイムQ10は、体内に存在する細胞の殆どに含まれており、皮膚にも存在する物質として知られている。コエンザイムQ10は肌の潤いを維持するヒアルロン酸の生産量を増やす効果があるとして、美容効果が期待されている。
さらに、コエンザイムQ10の特徴としては強力な抗酸化作用や免疫力を高めるはたらきなどがある。コエンザイムQ10は抗酸化物質として活性酸素から細胞膜などを守り、細胞が傷害されるのを防ぐ。
このように、コエンザイムQ10は美容効果やアンチエイジングの効果が得られるサプリメントとして世界中で注目され、利用されている。
コエンザイムQ10の摂取方法
コエンザイムQ10は体内で作られる栄養素であるが、その生産量は加齢とともに減少する。
特に心臓に存在するコエンザイムQ10は、中年と言われる年代で数割減少し、さらに高齢になると半分以上が減少してしまう。
コエンザイムQ10が不足すると高血圧やむくみ、めまいなどの症状が出現すると言われている。
さまざまなメーカーからコエンザイムQ10のサプリメントが販売されている。
コエンザイムQ10を多く含む食材には、マグロ・うなぎの蒲焼・レバー・牛肉・じゃがいもなどがあるが、食べ物に含まれている量はあまり多くない。したがってコエンザイムQ10を積極的に摂りたい場合は食事の補助としてサプリメントを上手に利用すると良い。
また、コエンザイムQ10は脂溶性(脂に溶ける性質)を持つため、効果的に摂取するためには空腹時でなく、脂質の多い食事と一緒にとることで吸収が高まる。
コエンザイムQ10の摂取量
国内において、コエンザイムQ10は健康食品として1日推奨量が30~300mgの製品が流通している。一方で、海外のメーカーによる製品では1日推奨量が100~1200mgというものが流通しており、適切な摂取量の基準値は世界的に設けられていないのが現状である(2012年3月時点)。
コエンザイムQ10の過剰摂取は副作用のリスクを高める可能性がある。食欲が減ったり、下痢や吐き気などが見られたとの報告が厚生労働省にされている。
コエンザイムQ10の1日の摂取目安量は300mgまで安全であるという報告が日本健康・栄養食品協会から厚生労働省にされている。
しかし、厚生労働省は健康食品としての目安量を設定するための十分な検証・科学的根拠が未だ得られていないため、医薬品としての30mg/日という摂取量を超えないことが現時点では望ましいとしている。一方、妊娠中の女性に対しては、妊婦が摂取した際の利用可能なデータや情報は得られていないため、サプリメントによる摂取は避けるべきとされている。
厚生労働省が平成18年8月23日に発表した「コエンザイムQ10を含む食品の取扱いについて」という通知。現時点では過剰摂取を防止するための摂取上限量は算出できないとしている。