カルニチンが豊富に含まれる
「肉の赤身」
カルニチン(Carnitine)とは、脂肪を燃焼させてエネルギーに変換する際に必須となる重要な栄養素である。カルニチンはそのほとんどが脂肪燃焼の場である「筋肉細胞」に存在している。生体内のカルニチンはL形であるため、L-カルニチンとも表記される。
カルニチンは肉の赤身に多く含まれ、特にラムやマトンなどの羊肉や牛肉に多く含まれている。卵や野菜、豆類にはほとんど含まれていない。
カルニチンは体内でも生成されるが、1日に作られる量は少量であるため、食べ物から摂取する必要がある。また、カルニチンが作られる量は、20歳をピークに徐々に減少していくため、20歳以降は特に摂取するように心がけたい成分である。
カルニチンが豊富な羊肉を積極的に摂取することで脂肪燃焼効果を促進するジンギスカンダイエットが有名である。
ダイエットとカルニチン
カルニチンは脂肪の燃焼に必須であることが知られているため、ダイエット効果が注目されている。
脂肪燃焼とカルニチンの関係
体脂肪は脂肪分解酵素リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解される。
分解で得られた脂肪酸は、ミトコンドリアという細胞内の小器官で燃焼され、それによって人間が活動するためのエネルギー(ATP)が作り出されている。
その際、カルニチンは単独では膜を通過できない長鎖脂肪酸を細胞質からミトコンドリアの膜の内側に運ぶという重要な働きを持っている(下記概念図参照)。したがってカルニチンが不足すると脂肪酸がミトコンドリアの内部に運ばれず、脂肪燃焼が制限されてしまうのである。
一方、長鎖脂肪酸より分子の大きさが小さい中鎖脂肪酸
はカルニチンと結合しなくてもミトコンドリア内部へ入り込めるため、分解されやすい脂肪酸として知られている。
カルニチンのはたらき (概念図)
カルニチンの利用方法
カルニチンはこのように長鎖脂肪酸の燃焼に必須であるため、カルニチンの適度な摂取は肥満などの生活習慣病を予防・改善する効果が期待できる。
さらに、エネルギーを十分に作り出せるようになることで、疲労解消やスタミナアップにも効果的であるとされている。
カルニチンのサプリメント
カルニチンは羊肉を摂れるジンギスカンや牛肉から摂取することもできるが、カルニチンサプリメントも販売されている。肉類からカルニチンを摂りたい場合は脂身の少ない肉を選び、高カロリーにならないように注意しなければならない。
カルニチンをダイエットに活用する場合は、運動と組み合わせることが効果的である。運動前にカルニチンを摂取しておくことで、運動による脂肪燃焼効果をさらに高めることができる。
カルニチンのダイエット利用の注意点
カルニチンは脂質代謝に必須であることから「ダイエットに効果がある」、「脂肪を燃やす」として注目されているが、ヒトでの有効性について適切な摂取量などを算出した十分な検証はまだ得られていない。
したがって、カルニチンを摂取すればするほど脂肪が減っていくというものではないため摂取量には注意が必要である。
厚生労働省はカルニチンを扱う業者に対して、
“本成分の使用に当たっては、米国では許容一日摂取量(ADI)が20mg/kg/日と評価されていることや、スイスでは1,000mg/日を摂取の条件としていることなどから、過剰摂取しないように配慮するとともに、消費者への情報提供を適切に行うこと。”
厚生労働省医薬局食品保健部基準課長 食基発第1225001号 平成14年12月15日
として、過剰摂取の注意表示を促している。
カルニチンに関係するダイエット記事
https://slism.jp/communication/shokuzai-7.html
Lカルニチンやカプサイシン、ビタミンB2、共役リノール酸など脂肪分解や脂肪燃焼、脂肪の蓄積予防を助ける栄養素を豊富に含んだ食品の紹介。
https://slism.jp/related_terms/vitamin_c.html
カルニチンの生成(酵素的ヒドロキシル化反応)における必須因子であるビタミンCの解説。