トレハロースとは、きのこ類や海藻類に存在する天然の糖類の1つ。以前は生産が困難で高値だったが、現在は簡単な生産方法の確立でかなり安値になっている。トレハロースは食べ物を甘くする以外に、劣化防止など食べ物の品質を保つ効果もあるため、菓子など多くの食品に利用されている。また、保水力の高さは化粧品に、乾燥や冷凍への耐性は血液保存などに役立てられている。近年の研究では、メタボ予防に有効なことも判明している。
天然由来の糖類で、きのこ類や海藻類に多く存在する
トレハロースは天然由来の糖類の1つで、椎茸、なめこ、ひじきに多く存在している。
以前は酵母からの抽出という難しい技術でしか生産できなかったため、1kgで4万円前後と非常に高額だった。しかし、デンプンをトレハロースに転ずる酵素を出す菌が見つかったことを機に、低コストでの量産が可能となり、値段も1kgで300円と大幅にダウンした。
トレハロースの効果は、食品を甘くするだけじゃない
安価に入手できるようになったトレハロースは、菓子をはじめ多くの食品の甘味料に利用されている。
トレハロースの甘さは、スクロース(ショ糖)の45%程度と言われている。ジャムを作る際に甘さ控えめにしたい場合は、スクロースにトレハロースを混ぜて糖度を調節するとよい。
トレハロースは食品を甘くする他にも、デンプンの劣化を防ぐ、果物の色褪せを防ぐ、脂質の酸化を防ぐ、タンパク質の凝固を防ぐ、野菜の鮮度を維持する、もちの柔軟性を保つ、肉や魚の臭みをなくす、冷凍のダメージを防ぐなど、たいへん多くの効果をもつ。食品の品質保持に役立つことも、トレハロース普及の理由となっている。
美容や医療の分野でも利用されており、メタボにも有効!
トレハロースは保水力に優れ、乾燥から細胞を保護する効果もあることから、化粧水など化粧品にも利用されている。また、乾燥や冷凍に強い特性は医療の世界でも注目されており、血液の保存などに役立てられている。
近年の研究では、トレハロースには脂肪細胞が肥大するのを防いだり、インスリン抵抗性の悪化を防いだりする効果もあることが判明しており、メタボリックシンドロームの予防に有効とみられている。