オルニチンは、私たちの体内やシジミなどの食品に存在する遊離アミノ酸である。口から摂取すると、腸吸収されたのちに肝臓などに届けられ、尿素回路にてアンモニア解毒促進の働きをする。アンモニアが解毒されると、エネルギー産生が円滑になるため、内臓の疲労回復ほか、筋肉の活性化による脂肪燃焼率アップも期待できる。
オルニチンは、シジミに多く存在する遊離アミノ酸の一種
オルニチンは、タンパク質と結びつかない遊離アミノ酸の一種であり、私たちの体内やさまざまな食品のなかに存在している。オルニチンが存在する食品には、シジミ、キハダマグロ、チーズ、ヒラメなどが例に挙げられ、このうちで一番オルニチンの含有量が多いのはシジミである。
アンモニア解毒を助け、内臓の疲労を癒す効果がある
オルニチンを口から体内に取り入れると、腸で吸収された後に、肝臓などの臓器に届けられる。
肝臓に届けられたオルニチンは、尿素回路(オルニチン回路)という代謝回路にて、人体に悪い影響を与えるアンモニアを無害な尿素へとつくり変える「解毒」の手助けをする。
アンモニアは、筋肉のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)や、脳のエネルギー源となるブドウ糖の産生を阻害する物質である。そのアンモニアが解毒されると、エネルギー産生が円滑になされるようになり、筋肉や脳が活発に動くようになる。アルコールで弱った肝臓も、元気を取り戻すことができる。
以下の試験も、オルニチンの解毒促進作用や、内臓の疲労回復効果を示唆するものとなっている。
- 66歳~82歳の高齢者を試験対象とし、L-オルニチンを1日10g、2ヶ月間にわたり継続摂取させる試験で、体重や食欲の増加、QOLの向上が認められた。
- 平均年齢40.9歳の男女17名を試験対象とし、L-オルニチン1日2g、一週間にわたり継続摂取させる試験では、血中脂質代謝の上昇が認められた。さらに8日目に1日6 gを摂取させ、エアロバイク運動を行わせたところ、血中アンモニア値の上昇抑制や、被験者の疲労減少の自覚が認められた。
脂肪燃焼率アップ、ダイエットに有効な可能性あり
オルニチンのもつ解毒作用や疲労回復の効果は、ダイエットに有効利用できる可能性がある。
ATPの産生が円滑になれば、筋肉の働きが活発化し、脂肪燃焼率もアップするという理屈である。
過剰摂取すると、腹痛や下痢の副作用が起こり得る
オルニチンの安全と思われる摂取量は、1日あたり7gまでである。
深刻な健康被害は今のところ報告されていないが(2013年8月現在)、10g以上の経口摂取で、腹痛や下痢などの副作用が起きる危険性があるため、過剰摂取には気を付けるべきである。