肥満細胞と言っても肥満とは関係ない。その姿が肥満を連想させることからついた名前である。
肥満細胞は造血幹細胞に由来しており、身体の防御に大切なの役割を担っているが、細胞アレルギー発症のメカニズムにも関わり、アレルゲンが体内に侵入することで肥満細胞が化学物質を分泌し、ヒスタミンを放出し、アレルギー反応を発生させる。
肥満細胞はマスト細胞ともいい、造血幹細胞で作られる細胞の1つ。血管の周りに多く在るが、鼻粘膜や気管支など、他のさまざまな組織にも存在している。肥満細胞は、花粉症のくしゃみや喘息の呼吸困難など、アレルギー症状の原因物質を放出する顆粒をたくさん内包している。ゆえに悪者のイメージがあるが、炎症など免疫反応を起こすことで、病原菌などから体を守る重要な役割も果たしている。
マスト細胞ともいい、血管に特に多く存在している
肥満細胞は、骨髄にある造血幹細胞で作り出される細胞の1つで、マスト細胞とも呼ばれる。
特に血管の周りに多く存在しているが、血管のほかにも鼻の粘膜、気管支、リンパ節、皮膚など、体のさまざまな組織に存在している。
肥満細胞は19世紀にドイツのポール・エーリッヒ博士という人物に発見された。
発見された際、肥満細胞は顆粒をたくさん抱え込んでいて肥満体を思わせる姿をしていたことから、肥満という名前がつけられたと言われる。ほかにも「肥えた動物に特に多く存在している細胞だから」など諸説ある。
肥満細胞は、免疫反応に大きく関係する機能をもつ
肥満細胞のもつ機能は、免疫反応に大きく関係している。
花粉などの抗原が体内に侵入すると、肥満細胞の表面に、IgE(免疫グロブリンE)という抗体ができる。
IgEに抗原が結びつくと細胞膜酵素の働きが活発になり、脂肪細胞が内包する顆粒からヒスタミンが放出されたり、ロイコトリエンや血小板活性化因子などの化学物質が発生する。これらが生じると、炎症など免疫反応が起きたり、くしゃみ・鼻水・咳などの症状が表れたりする。
肥満細胞症など異常状態にあると、アレルギー反応が起きる
肥満細胞症で脂肪細胞が体の一部にたまり過ぎていたり、肥満細胞が正常に機能していなかったりすると、強すぎる免疫反応、つまりアレルギー反応が起きてしまう。
アレルギー反応が重い場合、花粉症のしつこいくしゃみなど厄介な症状が出るばかりか、喘息の呼吸困難や白血病など、命を危うくする病気を引き起こすこともある。以上から脂肪細胞は、正しい状態で体に存在している必要があると言える。
肥満細胞の免疫反応は、病気予防のためにも重要
辛いアレルギー症状の原因になることから、肥満細胞は悪者のイメージが強い。
しかし、マイナス面ばかりもつわけではなく、正常な状態で体に存在していれば、炎症など免疫反応を起こすことで抗原を排除し、病気など有害なものから体を保護してくれる。