栄養バランスが良く健康・美容に良いとされる麻の実、実は身近な食材だった!
麻の実油の原料となる「麻の実」
独特な香りの麻の実は香辛料として七味唐辛子にも使われている。
麻の実油(ヘンプシードオイル)とは、麻(ヘンプ)の種子から抽出される油のことである。
麻の実油は体内では合成することができない必須脂肪酸を豊富に含んでおり、脂質成分の約8割が必須脂肪酸で占められている。
健康の維持や改善に効果が期待される不飽和脂肪酸を多く含むため、ダイエットにも取り入れられている。
麻の実は、必須脂肪酸のαリノレン酸やリノール酸、9種類の必須アミノ酸(リジン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン)、ビタミン、ミネラルを豊富に含んだ食品で、身体に必要な栄養がバランスよく補給できる食材である。
麻の実の脂質は必須脂肪酸であるn-3系脂肪酸(αリノレン酸)とn-6系脂肪酸(リノール酸)を非常に良いバランスで含んでいる。厚生労働省が推奨するn-3系とn-6系の理想的な摂取比率1:4に対して1:3と近い比率になっており、日本人が不足しがちなn-3系脂肪酸を効率的に摂ることができる。
栄養成分 | 麻の実100gあたりの含有量 |
---|---|
飽和脂肪酸 | 2.9 g |
n-3系脂肪酸 | 4.7 g |
αリノレン酸 | 4600 mg |
n-6系脂肪酸 | 14.7 g |
リノール酸 | 15000 mg |
γリノレン酸 | 140 mg |
五訂増補日本食品成分表より
食品の栄養成分やカロリーを簡単に調べられるカロリーSlismの麻の実詳細ページ。麻の実の栄養成分を詳しく知ることができる。
食事から摂取しなければならない必須アミノ酸と必須脂肪酸を同時に摂取できる麻の実油は理想的な食材とも言える。
ただし、必須脂肪酸の中でもα-リノレン酸・リノール酸は不飽和脂肪酸に分類され、酸化しやすいという欠点を持つため、使用する際は保管方法に気をつけ、早期に使い切ることを心がける必要がある。
麻の実油の含有成分にはγリノレン酸という必須脂肪酸が含まれ、γリノレン酸という物質は年齢とともに体内で合成する量が減少していく。すると代謝や免疫力といった機能の低下が見られるが、麻の実油を摂取することにより不足分の必須脂肪酸を補うことが出来るとされている。
また、含有成分の大半を占める不飽和脂肪酸は動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸と比べて体脂肪になりにくいといった効果があるため、麻の実油はダイエットで人気を集めている。
麻の実油が食物繊維に富んでいることもダイエットに使われる理由となっている。食物繊維の摂取によって、コレステロールの吸収抑制やお通じの改善など肥満を予防する効果が期待される。
そして、保湿性や浸透性に優れていることからホディケア用品などにも用いられ、アンチエイジングにも期待されている食材である。
食用の麻の実油の場合は、そのまま摂取したり、食品加工されたものやサプリメントによる摂取となる。化粧品に加工されたものであれば、そのまま肌に塗るのが美容に良い。血液の巡りを良くする作用があり、皮膚の老化を予防する働きがあると言われている。
他にも、アロマテラピーに加えて使用すると、アトピー肌の改善に良いとされている。
「麻の実=大麻の種子」ということもあって摂取することに不安を感じる人も多いが、麻の実および麻の実油には陶酔成分のTHC(Tetrahydrocannabinol,テトラヒドロカンビナール)は全く含まれていない。
麻の実は、日本では古くから辛さと旨みを増すための調味料・七味唐辛子に使われており、麻の実と知らずに口にしていることが多い。
さらに加工食材や各地方伝統の郷土料理にも用いられている。例えば、鳥取県の“しろはたずし”や長野県の“油味噌”や“がんもどき”など、多くの料理に用いられてきた歴史がある。