貧血のなかで一番多くみられる鉄欠乏性貧血は、鉄の欠乏を原因とする貧血。
鉄欠乏性貧血になると体が酸欠状態となり、息切れや眩暈などの症状が表れるようになる。
鉄は赤血球の代謝に使われるため1日で約1mgが失われ、月経がある女性では約2mgが失われると言われている。
鉄欠乏性貧血を防ぐには、鉄のほか、ヘモグロビン構成物質の1つタンパク質や、鉄の吸収を補助するビタミンCを合わせて意識的に摂るようにするとよい。
鉄欠乏性貧血は、いちばん多くみられる貧血のタイプ
鉄欠乏性貧血は、数種類ある貧血のうちの1つで、いちばん多くみられる貧血のタイプ。
“鉄欠乏”の名前が示す通り、鉄の欠乏を原因とする。
赤血球に含まれるヘモグロビンは、血液中にある酸素と結びついて、体のさまざまな組織に酸素を運び届ける役割を果たしている。しかしヘモグロビンの構成物質である鉄が不足すると、ヘモグロビン量も不足して機能低下が起こり、酸素運搬の役割を全うすることができなくなるので、体が酸素欠乏状態におちいってしまう。
これが鉄欠乏性貧血の引き起こされる仕組みであり、鉄欠乏性貧血になると、息切れやめまいといった症状が表れるようになる。
1日約1mg、女性は1.5~2mgの鉄が失われている
ヘモグロビンを含む赤血球は、およそ120日経つと破壊されるようプログラミングされている。
120日の寿命を迎えた赤血球が破壊されると、そのかわりに新たな赤血球が誕生する。
この代謝サイクルによって、血液中の赤血球は一定量を維持している。
赤血球の代謝には、鉄が使用(損失)される。数字で表すと、1日におよそ1mgの量の鉄が失われると言われている。
女性の場合は月経があるため、これにプラス0.5~1mg、合計では1日におよそ1.5~2mgの鉄が失われると言われている。
鉄、タンパク質、ビタミンCを意識的に摂り予防を
鉄欠乏性貧血にならないためには、赤血球の代謝で失われてゆく鉄を、毎日の食事できちんと補充しなければならない。ただし鉄の吸収率はわずか15%ほどなので、ヘモグロビンのもう1つの構成物質タンパク質や、鉄の吸収率を上げるビタミンCといった栄養素も一緒に摂ることが大切。
ちなみに以下のような食品に、鉄、タンパク質、ビタミンCが多く含まれている。
鉄 |
含有量 |
タンパク質 |
含有量 |
ビタミンC |
含有量 |
豚レバー |
13.0mg |
しらす
(半乾燥) |
40.5g |
赤ピーマン |
170mg |
鶏レバー |
9.0mg |
いわし
(丸干し) |
32.8g |
黄ピーマン |
150mg |
パセリ |
7.5mg |
イクラ |
32.6g |
ゆずの皮 |
150mg |
牛のセンマイ |
6.8mg |
筋子 |
30.5g |
パセリ |
120mg |
豆味噌 |
6.8mg |
牛の腱 |
28.3g |
芽キャベツ |
110mg |
卵黄 |
6.0mg |
たらこ(焼) |
28.3g |
レモン |
100mg |
ホヤ貝 |
5.7mg |
あじ(焼) |
27.5g |
レモン |
87mg |
※それぞれ100g当たりの含有量。
■鉄の1日の推奨量 |
■タンパク質の1日の推奨量 |
■ビタミンCの1日の目安量 |
成人男性…7.5mg |
成人男性…60g |
成人男性…100mg |
月経のない女性…6.5mg |
成人女性…50g |
成人女性…100mg |
月経のある女性…10.5mg |
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フライパンにあさりとお酒を入れて蒸して作る『あさりの酒蒸し』。鉄分の多い料理なので、鉄欠乏性貧血対策にぴったりです。また赤血球の材料になるビタミンB12もたっぷりなので、ぜひ貧血対策メニューに加えてください!
汗、食事ダイエット、月経・妊娠でも鉄は失われる
鉄は赤血球の代謝のほか、たくさん汗をかく、きつい食事ダイエット、月経・妊娠といったことでも失われる。
これをみると女性に当てはまるものが多いので、女性は特に鉄を意識的に摂取するようにしたい。