雪茶は、ムシゴケを原料とするお茶である。中国では、古来より漢方の生薬や飲料として用いられてきた。東洋医学において雪茶の効果は「清熱・喉を潤す・頭が冴える・精神安定」である。脂肪を分解するという説もあるが、効果を証明するような科学的データはなく、肝機能障害の副作用が報告されているので乱飲には要注意である。
雪茶は、ムシゴケを乾燥させて作るお茶である
雪茶は、チベット高原を生息地とするムシゴケを乾燥させて作るお茶であり、「ゆきちゃ」や「せっちゃ」のほか「スノーティー」と呼ばれることもある。
雪茶の原料となるムシゴケは白色を呈しており、もやしのように細長い(長さは7㎝前後)姿をしている。
白色を呈していることや常雪のなかを自生する様子から、雪茶という名前がつけられたと言われている。
ムシゴケには、成長にたいへんな時間を要する植物であり、成長ペースは1年に数ミリ程度という特徴もある。
その意味では、とても貴重なお茶の原料と言える。
東洋医学では、清熱や喉を潤すなどの効果をもつとされる
中国においてムシゴケは、古来より漢方の生薬として使用され、またお茶の原料として利用されてきた。
東洋医学(伝統中国医学)によると、ムシゴケやムシゴケから作られる雪茶の効果は、清熱(熱症状を改善すること)・喉を潤す・脳の覚醒・精神安定であるとされている。
「脂肪分解作用」の証明になる科学的データはない
雪茶には、「脂肪を分解する作用がある」「烏龍茶よりも脂肪を分解する力が強い」といった説もある。
しかし雪茶が脂肪に効くことの確実な証明になるような科学的データは、現時点(当稿執筆2013年8月時点)では存在しない。
肝機能障害の健康被害が発表されている
2003年に厚生労働省より、雪茶の飲用を原因とする健康被害が発表されている。
テレビ番組の影響で、脂肪分解によるダイエット効果を期待して雪茶を飲んだ母娘が、肝機能障害を起こしたという内容である。
母娘は、中国輸入の雪茶(5~10gの原料をお湯2リットルで煮出し作ったもの)を、1日に約1リットル・約3ヵ月間にわたり飲用していたとのこと。
中国茶は、急須の茶葉に熱湯を入れ、最初の液は捨てて2~3回目の液を飲用するのが、基本の飲み方である。母娘は誤った飲み方を続けたために、体調を害する結果に至った可能性がある。
ダイエット目的での乱飲は控えるべき
効果や副作用の表れには個人差があるため、雪茶が絶対的に健康を害すものとは決まっていない。
雪茶はアミノ酸、ミネラル、ビタミンBなどの栄養素が豊富であるため、正しく飲めば美容効果や健康効果を得られる可能性がある。
メリットだけでなく被害事例にも注目し、基本に沿わない飲み方や、ダイエット目的での乱飲を控えることが大切である。