クコは、赤い実をつける中国原産のナス科の植物である。実は食用ほか漢方の生薬にも利用されており、葉や根皮も同様に生薬になる。クコは血圧・コレステロール低下の効能を有するが、月経促進、抗コリン作用、アレルギー反応などの副作用リスクも伴うため、妊婦や授乳中、胃腸虚弱、クコアレルギーを持つ者などは、摂取を控えるべきである。
クコの実・葉・根皮は漢方の生薬として用いられている
クコは、中国を原産国とするナス科の植物であり、漢字では「枸杞」と表記される。
楕円形の赤い実をつける特徴があり、生で食すほか、お酒(クコ酒)やドライフルーツ、お粥の具などにして飲食することができる。クコの実には薬効があるため、食用ほか薬用にも用いられる。
クコは、実だけでなく葉や根皮にも薬効がある。
中国伝統医学では、クコは滋陰の力を備えた漢方生薬の1つとして古来より用いられており、生薬名は、実は枸杞子(くこし)、葉は枸杞葉(くこよう)、根皮は地骨皮(じこっぴ)である。葉は茶葉としても利用されている。
血圧やコレステロール値を低下させる効能をもつ
枸杞子、枸杞葉、地骨皮には、血圧やコレステロール値を低下させる効能があるとされる。
また枸杞子に含まれるベタインという物質には、肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ抗脂肪肝作用もある。
さらにクコより水や希エタノールで抽出した液は、抗脂肪肝作用ほか、肝臓の機能障害を防ぐまたは改善する肝機能保護作用があると言われている。
月経促進や抗コリン作用など副作用も有するので注意
枸杞子のベタインは、月経促進薬などの薬と似た作用も有するため、妊婦や授乳中は摂取しないほうがよい。またクコの抽出液のもつ、副交感神経の作用を妨げ抗コリン作用にも注意すべきである。さらに乾燥させた地骨皮には、吐き気や嘔吐の副作用リスクが伴うため、安易な摂取は禁物である。
胃腸虚弱やクコアレルギーのある者には適さない
クコは、胃腸が弱く、消化不良や下痢を起こしやすい体質の者には適さない。
また植物性食物アレルギー検査でクコに陽性反応が出る者もいるため、摂取する前にアレルギーテストを受けて、自身のアレルゲンを把握しておくのが賢明と言えるだろう。
以上に該当しなくても、クコが配合された漢方薬を利用する場合は、漢方医とよく相談することが大切である。