スピルリナは、地球上ではじめに誕生したとされる微細藻類である。顕微鏡で見ると、コイルのようならせん形をしており、光合成を行う葉緑素を持っている。スピルリナはタンパク質やミネラルなど貴重な栄養素が豊富なため、その優れた栄養価を売りにしている健康食品も多い。スピルリナにはコレステロール減少や体重減少の効果も期待できるが、ミクロキスチンを含むスピルリナや、フェニルケトン尿症の病歴がある者の摂取は、健康を害す恐れがあるので控えるべきである。
スピルリナは、肉眼でとらえられない微細藻類である
スピルリナは、熱帯地域でアルカリ性の強い湖などに生息している微細藻類の一種である。
微細藻類はマイクロアルジェとも呼ばれ、マイクロの意味通り人の肉眼ではとらえられないほどに微小な藻のことを指す。地球上で一番はじめに誕生した、細胞核のない原核生物(単細胞生物)であるとも言われている。
スピルリナという名前は、ラテン語で「ねじれ」や「らせん」と訳すことができるが、これはスピルリナを顕微鏡で観察すると、コイルのようにらせん状の形をしていることが由来となっている。
なお「ねじれ」や「らせん」をラテン語で表記すると“Spira”、ラテン語を起源とする英語では“Spiral”となる。
光合成を行う葉緑素をもつため、栄養豊富である
スピルリナは植物プランクトンであり、緑色植物の特性である葉緑素(クロロフォルム)を持っている。
葉緑素は、太陽光や二酸化炭素などを材料に、生命エネルギーの源となる栄養素をつくりだす―つまりは光合成を行う物質であるため、その葉緑素をもつスピルリナは豊富な栄養が含まれることになる。
実際スピルリナは、生命を構成する基礎成分のタンパク質をはじめ、鉄分などのミネラル類、必須アミノ酸のフェニルアラニン、ビタミンB群など貴重な栄養素を豊富に含有している。
スピルリナが「貴重なタンパク源やミネラル源」「優れた栄養価をもつ素材」などと称され、国内外を問わず注目されているのはこのためである。
サプリメントなど、スピルリナの優れた栄養価を売りにした健康食品も、数多く出回っている。
DICライフテック株式会社が販売する「ザ・スピルリナEX」や「スピルリナリッチ」、ジャパン・アルジェのスピルリナ普及会が販売する「スピルリナ100%」などが、売れ筋商品のようである。
コレステロール減少や体重減少の効果を期待できる
スピルリナを摂取すると、コレステロール減少や体重減少の効果を得られるという説もある。
コレステロール減少については、2型糖尿病の罹患者にスピルリナのサプリメントを摂取させる実験において、有効性を示す結果が報告されているが、体重減少の効果を証明するようなデータは不明である。
ただし、スピルリナ普及会の「スピルリナ100%」を飲用した消費者で、お通じが良くなったという声が多くみられるため、便通の改善が体重減少につながる可能性はある。
毒素を含むものやフェニルケトン尿症の病歴者は注意
スピルリナは、不足傾向にある栄養素の補給など、健康向上やダイエットに役立つ素材であると言える。
しかしミクロキスチンが含まれるスピルリナには注意しなければならない。理由は、肝臓に有害な毒素だからである。またスピルリナは、フェニルケトン尿症を悪化させる危険性を孕むため、病歴がある者の摂取は避けるべきである。