キトサンは、不溶性食物繊維のキチンを消化吸収できるよう脱アセチル化したものである。キトサンは、コレステロール値低下のほか便通改善やデトックスの効果も期待できる。しかし過剰摂取や薬との併用が原因と考えられる健康被害が報告されているため、目安量の無視や病気治療中の摂取は禁物である。
キトサンは、キチンを体内吸収できるよう加工したもの
キトサンは、カニやエビの外殻に存在する多糖体のキチンを、希酸に溶けるよう加工(脱アセチル化)したものである。キチンを脱アセチル化しキトサンにすると、胃酸に可溶な物質となり、体内への消化吸収もなされるようになる。なおキチンとは、水や酸に不溶の性質をもつ食物繊維のことである。
食品添加物、化粧品・薬の成分など用途が広い
キトサンはキチン・キトサンと呼ばれることがしばしばあるが、それは脱アセチル化しても100%がキトサンになるわけではなく、数%のキチンが残ってしまうためである。
用途が広いのもキトサンの特徴であり、主な用途は食品添加物であるが、ほかにも化粧品や薬の成分、寝具や衣料品の素材など、さまざまなことに用いられている。
代表的な効果は、コレステロール値の低下である
キトサンの代表的な効果は、コレステロール値の低下であるが、便通改善やデトックス(毒素排出)効果も期待できると言われている。
アサヒ緑健の「緑効青汁キトサンイン」は、キトサンのコレステロール吸収抑制の効果をうたった有名な健康食品であり、消費者庁に認可された特定保健用食品(トクホ)でもある。
健康な成人男性8人を被験者とし、キトサンを含む食品を一週間食べさせる実験を行ったところ、血中の総コレステロールの減少や善玉コレステロールの増加がみられたという報告がある。
また過体重や肥満に該当する成人男女に、キトサンを一ヶ月間以上摂取させる実験では、血中の総コレステロールと体重の減少、血圧降下の効能を示唆する結果が報告されている。
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キトサンの過剰摂取や、病気薬との併用は控えるべき
キトサンを含む食品が関与している健康被害報告にも注目すべきである。
抗てんかん薬との併用による全身けいれん(てんかん発作)の発生、腎不全の治療薬との併用・目安量の3倍摂取による出血傾向、ワルファリン治療中のキトサン摂取によるINRの増加などが事例に挙げられる。
事例をみると、キトサンの摂取量や病気薬との併用が問題点になっていると推定できる。
よって、キトサンの目安量を無視した過剰摂取や、自己判断で病気治療に用いることは控えるべきと言える。
キトサンの副作用を避けるためにも、病気や服用中の薬がある者は、摂取前に医師に相談することが望ましい。
健康な者が、目安量を守った上で経口摂取・外用するのであれば、副作用の危険はないとみてよい。