【ビタミンAが多い食材・食品】摂取・過剰・欠乏
- 2013年1月29日
- 投稿者:二拾七
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脂溶性ビタミンの一種であり、肉類など動物性食品に多く含まれる「ビタミンA」。そして、野菜などの植物性食品にもプロビタミンA(ビタミンAの原料)が含まれ、おなじみのβカロチンがビタミンAの供給源となります。ダイエット中は偏った食事になりがちですのでビタミンの不足や過剰摂取に注意しましょう。
それではビタミンAの働きや、ビタミンAの多い食材・食品を順にご紹介していきます。
ビタミンAについて
ビタミンAは動物性食品に多く含まれる脂溶性ビタミンの仲間ですが、体内で造りだすことのできないビタミンです。不足しないように食事からの摂取を心がけなければなりません。また、食品から得たビタミンAは、各組織において貯蔵や他の物質との結合が行われ、視覚や成長促進、皮膚や粘膜の保持などに機能します。
ビタミンAの一つで、野菜から摂取されるβ-カロテンなどは体内からビタミンAが不足すると必要量だけビタミンAに変換させて、不足した分を補います。このように体内で変換するビタミンAを「プロビタミンA」と呼びます。
このプロビタミンAと呼ばれる栄養素は殆どがカロテノイドと呼ばれるもので、カロテンを始め、約50種類もあります。不要となりビタミンAに変換されなかった場合は蓄積、または排泄されるようになっています。
ビタミンAの摂取量/欠乏と過剰
ビタミンAの摂取推奨量(プロビタミンAを含む)は、成人男性(18~29歳)で850μg/日、女性(18~29歳)で650μg/日となっています。
欠乏すると、夜に目が利きにくくなる夜盲症や成長障害、免疫機能の低下などが起こり、乳幼児に至っては失明のリスクも高まります。ですが、肝臓に蓄えられているレチノール(ビタミンA)が20μg/g以上に保たれていれば夜盲症などのビタミンA欠乏症にはなりません。
このように欠乏症は大丈夫だとしても、過剰症は大丈夫でしょうか?
1日の耐容上限量である2,700μgを超えた過剰摂取は、頭痛を始め、急性毒性や慢性毒性などの症状を引き起こすことがあります。急性毒性では脳脊髄圧を上昇させ、慢性毒性では脱毛や皮膚の角質が落ちるなどの症状が起こります。
また、妊婦の過剰摂取も胎児に悪影響を及ぼすため、摂り過ぎは避けなければなりません。
ビタミンAが多い食材・食品
ビタミンAは動物性食品に多く含まれ、特に肝臓に豊富です。しかし、ビタミンAは不足だけでなく過剰摂取にも注意したい栄養素ですので、ビタミンAを多く含む食品をチェックして、不足していないか過剰になっていないか確認してみましょう。
食品 | 含有量 | 食品 | 含有量 |
---|---|---|---|
モロヘイヤ(茎葉、生) | 840μg | スモークレバー | 17000μg |
しそ(葉、生) | 880μg | やつめうなぎ(生) | 8200μg |
にんじん(根、冷凍) | 810μg | あゆ(養殖、内臓、焼き) | 6000μg |
とうがらし(果実、生) | 640μg | うなぎ(肝、生) | 4400μg |
パセリ(葉、生) | 620μg | レバーペースト | 4300μg |
バジル(葉、生) | 520μg | レバーソーセージ(豚肉) | 2800μg |
ほうれん草(葉、冷凍) | 500μg | ほたるいか(ゆで) | 1900μg |
よもぎ(葉、ゆで) | 500μg | ぎんだら(生) | 1100μg |
しゅんぎく(葉、ゆで) | 440μg | あなご(蒸し) | 890μg |
明日葉(茎葉、生orゆで) | 440μg | すじこ | 670μg |
なずな(葉、生) | 430μg | わかさぎ(つくだ煮) | 460μg |
大根(葉、ゆで) | 370μg | たたみいわし | 410μg |
にら(葉、ゆで) | 370μg | ぼら(からすみ) | 350μg |
糸みつば(葉、ゆで) | 340μg | かじか(つくだ煮) | 370μg |
西洋かぼちゃ(果実、生orゆで) | 330μg | イクラ | 330μg |
高菜漬け | 300μg | くろまぐろ(脂身、生) | 270μg |
小松菜(葉、生orゆで) | 260μg | 卵黄(生) | 480μg |
からしな(塩漬け) | 250μg | 無塩バター | 790μg |
ケール(葉、生) | 240μg | デニッシュペストリー | 440μg |
リーフレタス(葉、生) | 200μg | クリームコロッケ (フライ用、冷凍) |
240μg |
※日本食品標準成分表2010より
しそ(葉、生) 880μg
爽やかな香りを放つ香辛野菜であり、生しその実にも220μgものビタミンAが含まれています。
シソは料理のわきに飾られたり、刺身のツマなどに用いられてきた野菜です。赤じそ・青じそがあり、青じそは大葉ともよばれ、天ぷらなどにすると香りや味を一層楽しめます。最近ではシソを煮詰めて作るしそジュースを健康のために飲む人も増えて来ていますので、皆さんも試してみてはいかがでしょう?
人参(根、冷凍) 810μg
ニンジンはビタミンA含有量が高く、油に溶けやすい性質を持っています。そのため油を使った調理をすると、効率よくカロテンを吸収することができます。
ニンジンジュースやニンジンサラダ、グラッセやケーキなどにして食べられます。ニンジンは皮つきの状態かどうかや、生orゆでによってもビタミンAの含有量が少し変わってくるので、料理によって用い方を工夫すると良いでしょう。
人参の状態 | 含有量 |
---|---|
にんじん(根、皮つき、生) | 760μg |
にんじん(根、皮つき、ゆで) | 740μg |
にんじん(根、皮むき、生) | 680μg |
にんじん(根、皮むき、ゆで) | 720μg |
ほうれん草(葉、冷凍) 500μg
ほうれん草は、ビタミンAの他にも鉄などを含んだ貧血の強い味方であり、低カロリーのためダイエットにも役立ちます。
ソテーやグラタン、胡麻和えなどにして食べられることが多く、最近ではサラダとして食べるように生でも食べられるホウレンソウもあります。しかし、ほうれん草の中には灰汁が強い物もあるため、茹でたり、油で炒めて加熱調理などするとアクを取り除くことができます。
ホウレン草の状態 | 含有量 |
---|---|
ほうれん草(葉、生) | 350μg |
ほうれん草(葉、ゆで) | 450μg |
しゅんぎく(葉、ゆで) 440μg
独特な香りを持つ春菊は、鍋料理の脇役であり、冬の寒い時期にスーパーで見かけるようになります。
カロテンを含む春菊の生の葉にも380μgのビタミンAが含まれておりますが、茹でて調理した方がビタミンAが増加します。
しかし、春菊が鍋物に重宝するといっても、一度に使い切るのが難しい場合は、水で湿らせた新聞紙などに包み、ビニール袋にいれたら野菜室に立てて保存するようにしましょう。冷凍することもできますが、早めに使い切るのが一番です。
大根(葉、ゆで) 370μg
おでんやお味噌汁の具材として欠かせない大根は、胃液を分泌させたり、整腸作用などの働きを持ちます。消化をサポートする働きがあるため、ダイエット中にも取り入れたい食品です。カロリーも低く、ダイエットに大きな影響を与えることはないため、大根を使ったダイエット料理にも挑戦してみてください。
大根の葉は生で食べることもでき、生の大根葉に含まれるビタミンAは330μgとなっています。しかし、加熱調理した大根葉の方がビタミンA含有量が高くなるので、加熱調理をおススメします。
うなぎ(肝、生) 4.400μg
近年、ウナギの稚魚であるシラスが減少し、漁獲不漁のためウナギは高級魚となりつつあります。また、天然ウナギは希少であり、養殖技術が発展して以降は養殖ウナギを多く見かけるようにもなりました。
鰻は脂質・タンパク質が高く、栄養素に富んでいます。不足しやすい栄養素を補うためには丁度良いですが、栄養の摂り過ぎにも注意が必要です。
うなぎの状態 | 含有量 |
---|---|
うなぎ(養殖、生) | 2400μg |
うなぎ(白焼き) | 1500μg |
うなぎ(かば焼き) | 1500μg |
ほたるいか(ゆで) 1.900μg
ほたるいかは、ヤリイカやスルメイカに比べると銅の長さが短く、約6cm程度しかない小ぶりのイカです。3~6月頃になると富山湾で水揚げされ、刺身や酢味噌和え、炊き込みご飯などにして食べられます。
1杯のカロリー(内臓含む)が17kcalと低カロリーのため、ダイエットに大きく影響することはないものの、ビタミンAの摂取量に注意が必要です。
ほたるいかの状態 | 含有量 |
---|---|
ほたるいか(生) | 1500μg |
ほたるいか(くん製) | 150μg |
ほたるいか(つくだ煮) | 690μg |
かじか(つくだ煮) 370μg
かじかはビタミン・ミネラルを豊富に含み、カジカ汁や刺身などにして食べるのが美味しい魚です。体には鋭いヒレを持っており、捌く際には注意が必要です。寒い時期に獲れるカジカは身が締まっており、どのようにして食べても美味しいです。
かじかの状態 | 含有量 |
---|---|
かじか(生) | 180μg |
かじか(水煮) | 290μg |
鮎(養殖、内臓、焼き) 6.000μg
日本全土の河川と海域に生息する鮎は、春から冬にかけて1年を通して成長します。産卵期を迎え、卵を産むと成魚の鮎の一生は終わります。生まれた稚魚は海へと流され、プランクトンをエサとしながら、また新しい一生を迎えます。
鮎の美味しい食べ方は、定番の塩焼きから、甘露煮や天ぷらなどです。鮎が美味しくても、内臓部分にはビタミンAが豊富なので食べすぎないようにしましょうね。
鮎の種類 | 含有量 |
---|---|
あゆ(天然、生) | 35μg |
あゆ(天然、焼き) | 120μg |
あゆ(天然、内臓、生) | 1700μg |
あゆ(天然、内臓、焼き) | 2000μg |
あゆ(養殖、生) | 55μg |
あゆ(養殖、焼き) | 480μg |
あゆ(養殖、内臓、生) | 4400μg |
β-カロテンから効率よくビタミンAを摂取!
β-カロテンは、緑黄色野菜などに含まれているカロテノイドの一種であり、ビタミンAが足りない時にレチノール(ビタミンA)に変換されます。そのため、ビタミンA不足が心配な方は野菜を食べ、β-カロテンをしっかりと摂取することをおススメします。中には油を使って調理することでカロテンの吸収率がアップするものもあるので、野菜の栄養素を把握して調理すると良いでしょう。
動物性食品から摂取されるビタミンAはプロビタミンAと違い、不足した分だけを変換して補填するような働きにはなっておらず、食べた分だけビタミンAを摂取することになり蓄積されます。そのため過剰摂取にならないように注意しなければなりません。
参考資料
- 「健康食品」の安全性・有効性情報
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail51.html
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail171.html - 食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf
http://www.fsc.go.jp/sonota/maternity/maternity.pdf - 農業産業振興機構
http://lin.alic.go.jp/alic/month/dome/1994/jan/niku.htm
http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/1301/yasai1.html
http://vegetable.alic.go.jp/panfu/radish/radish.htm
http://vegetable.alic.go.jp/panfu/carrot/carrot.htm
http://vegetable.alic.go.jp/panfu/spinach/spinach.htm - 日本人の食事摂取基準
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4i.pdf
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4n.pdf - 日本食品標準成分表2010
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1298713.htm - その他資料
http://jica-ri.jica.go.jp/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/field/pdf/2003_05e.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/21/4/21_4_297/_pdf
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1007/mf_news_03.html
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1106/otakara.html
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/0907/spe2_04.html
http://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kankyo/ayu/isshou/ayu1.htm
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