イヌリンは、D-フルクトースを構成成分とする多糖類であり、腸内細菌で分解される食物繊維でもある。菊芋やチコリに多く含まれており、血中の中性脂肪を減らしたり便秘を解消したりする効果がある。健康向上に有効な成分であるが、大量摂取で確率が高くなる副作用や、重篤なアレルギー反応には十分注意すべきである。
イヌリンはD-フルクトースから成る多糖類であり、食物繊維である
イヌリンは、D-フルクトースの重合により構成されている多糖類の一種である。
人の消化酵素では消化できず、腸内細菌で分解される食物繊維でもあり、高温の水に溶けやすく低温の水やアルコールには溶けにくい性質を持つ。
ただし高温水で溶かしてからアルコール沈殿させることにより、低温水にも溶けるようになる。
血中の中性脂肪の減少や、便秘解消の効果あり
イヌリンは、ゴボウ、菊芋、玉ねぎ、にんにく、ニラ、チコリなど色々な食品に含まれているが、特に含有量が多いのは菊芋やチコリである。イヌリンの代表的な用途は食品添加物であるが、血中の中性脂肪(トリグリセリド)を減少させる効果や、腸内環境を良好にし便秘を解消する効果を有するとされている。
イヌリンを2ヶ月間経口摂取させる試験では、最大で19%の血中トリグリセリド減少が認められている。
この結果から、イヌリンは高トリグリセリド血症の症状改善に有効であると言える。
なお高トリグリセリド血症とは、4種ある脂質異常症のうちの1つであり、血中の中性脂肪(トリグリセリド)値が150mg/dlを超えている状態を指す。
また便秘傾向のある者に、チコリのイヌリンを1日20g×8日間、その後1日40g×11日間にわたり摂取させる試験では、腸内環境の改善による便秘解消の結果が得られている。
ダイエットに有効な成分が含まれているお茶を9つ紹介。「アントシアニンが脂肪吸収を抑える」「イヌリンがお通じを良好にする」など、各お茶の効能・効果が分かりやすく説明されているから、目的に合わせたセレクト・購入に役立ちます。
副作用、特にアレルギー反応には十分な注意を
イヌリンの安全な摂取方法については、目安量は1日8~14g、目安期間は8週間までとされている。
表れ得る副作用には、胃腸のガス蓄積、腹部膨満感、胃痙攣、胃腸の不快感などが挙げられるが、これらはイヌリンの摂取量が30g以上になると表れる確率が高くなるため、大量摂取は控えるべきである。
イヌリンのもつアレルギーリスクにも注意しなければならない。
西洋ごぼう、アーティチョーク、イヌリンを含むマーガリンが原因のアナフィラキシーショックが報告されているからである。アレルギーショックは激しいアレルギー反応のことを指し、呼吸困難やチアノーゼが起きることもあるため特に注意したい。