田七人参は、中国の雲南省などを原産地とするウコギ科の植物である。和名を三七人参といい、その根に薬用効果があるため主に漢方の生薬に利用されている。代表的効能は止血であるが、健康状態などにより正反対の作用をみせるとされる。毒性は弱いものの、大量摂取は副作用リスクを上げるので控えるべきである。
田七人参は、三七人参の和名をもつウコギ科の植物である
田七人参は、中国の雲南省や広東省を原産地とするウコギ科の植物であり、和名を三七人参という。
他にも田三七、金不換、三七などと呼ばれる場合があるが、金不換は「お金に換えられないほど高価値なもの」を意味し、三七は漢方の生薬として使用される際の呼び名である。
その根に、止血や抗凝血などの薬用効果がある
田七人参は薬用効果を有することで知られており、薬効のある部位は根である。
花が咲く前あるいは11月ごろに収穫したものを、水洗いしてひげ根を除去し、陰干させたものを、漢方薬の生薬やサプリメントの原料などに用いるのである。
田七人参の根の、代表的な効能は止血であるが、利用方法や摂取する者の健康状態などによっては、止血とは正反対の抗凝血(血液の凝固を防ぐこと)の作用をみせるとされる。また心疾患や前立腺がん改善の可能性も期待されているが、有効性については研究段階である。
肝機能障害やストレスにも効果的な可能性あり
田七人参に止血と抗凝血の効能があることは、動物実験で明らかとなっている。
人を対象とした試験では、肝機能障害の罹患者18人のうち、5人の血清トランスアミナーゼ活性値(AST値・ALT値)の低下が認められている。試験内容は、田七人参を2g×3回/日、3ヶ月間継続摂取させるというものである。
また疲労倦怠感や食欲不振のある者51人に、田七人参を2g/日、1ヶ月間投与する試験を行ったところ、好塩基球と単球の増加および、ストレスや疲労倦怠感の改善がみられたという報告もある。
内臓脂肪に効き目があるとされている漢方薬の一覧です。「田七人参は肝臓機能を高め脂肪代謝率をアップさせる」など、各漢方薬の効能・効果がわかりやすく説明されているほか、どんな副作用リスクがあるかも記載されています。
毒性は弱いが、副作用があるので大量摂取はNG
田七人参を原因とした重症の健康被害は報告されていないため、毒性は弱いとみてよい。
しかし副作用のリスクがないわけではなく、経口摂取により激しい口の乾き、炎症、情緒不安、睡眠障害、吐き気などが表れることもある。多量の摂取で、強い吐き気、頭痛、疲労感、めまいなどの症状が表れることもある。
さらには出血傾向(鼻血や経血量の増加、血尿など)や、確率は低いが中毒症状も表れることがあるため、大量摂取や疾患がある場合の摂取には十分注意すべきである。