【ビタミンB1/B2/B12】欠乏を防ぐビタミンB群食品リスト
- 2013年2月5日
- 投稿者:二拾七
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ビタミンB群は、糖質からのエネルギー生成やたんぱく質・脂質の代謝などに関わっている、ダイエット中にこそ確実に摂りたい栄養成分です。食品成分表2010に載っている8種のビタミンB群のうち5種は不足しにくいといわれていますが、3種は不足しがちです。その3種をしっかり摂って、健康的なダイエットを目指しましょう。
ダイエット中はビタミンB群が不足しがち
日本食品標準成分表2010にはビタミンB群のうち8種の数値が載っています。8種のうちビタミンB6と葉酸、ビオチンは腸内細菌によって合成され、ナイアシンとパントテン酸はいろいろな食品に含まれていて普通の食事で充分摂取できるので、通常は不足しないといわれています。つまり、残りの3種、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12は不足しがちな、意識して摂らなくてはならない栄養成分です。
ビタミンB群は水溶性で、過剰に摂取しても排泄されて過剰症にならない反面、体内に長時間蓄えておくことができないので常に必要な分を摂取しなければなりません。
また、ビタミンB群を豊富に含む食品は高カロリーであるとかコレステロールが多いといった制約のあるものが多く、レバーや魚卵のように嗜好が極端に別れ食べない人は全く食べないものもあります。ビタミンAであれば人参、ビタミンCであればピーマンなどの、入手や保存が容易で手軽に摂れて、カロリーやコレステロールの制約がないため毎日でも食べられる便利な補給源がビタミンB群には乏しいので、一つの食品で一日分を確保できないことが多く、摂取量を通算して把握するのも大変です。
ビタミンB1、 B2、 B12をしっかりと、かつ、なるべく低カロリーで摂って、代謝やエネルギー生成を維持するための、おすすめ食品をご紹介します。
※各ビタミンの一日当たり推奨量は、2010年版食事摂取基準における、基準体位である18~49歳の女性の数値です。基準体位は国民栄養調査から算出された各年齢別の身長・体重の中央値で、18~29歳の女性が158.0cm・50.6kg、30~49歳の女性が158.0cm・53.0kgです。
ビタミンB1が豊富な食品 一日推奨量 1.1mg
ビタミンB1は糖質からのエネルギー生成に関わっていて、精白米を主食としている地域で不足しがちです。日本でもビタミンB1欠乏症である脚気(かっけ)が国民病と言われ、昭和初期には年間1万人から2万人が脚気で死亡していました。
現在、欠乏症が少ないのは、摂取エネルギーのたんぱく質・脂質から摂る割合が増えた事やインスタントラーメンなどの加工食品に添加されるようになった事など、様々な要因が考えられます。
B1の一日推奨量は1.1mgです。エネルギー当たりの数値なので摂取エネルギーが基準より多ければビタミンB1もより多く必要となります。基準となっているエネルギーは18~29歳の女性が1,950kcal、30~49歳の女性が2,000kcalです。
食品 | 可食部重量 | エネルギー | たんぱく質 | コレステロール |
---|---|---|---|---|
豚ヒレ肉 | 112.2g | 129.1kcal | 25.6g | |
たらこ | 154.9g | 216.9kcal | 37.2g | 542mg |
小麦胚芽 | 60.4g | 257.5kcal | 19.3g | |
豚ロース肉 | 159.4g | 419.3kcal | 30.8g | |
うなぎ蒲焼 | 146.6g | 429.7kcal | 33.7g | 337mg |
カロリーの低い順です。たんぱく質の豊富な食品が多いのでたんぱく質含有量も載せました。コレステロールは特に多いものだけ載せています。うなぎ蒲焼は小さめのもの一尾程度です。
料理一品で一日分を確保できそうなのはうなぎ蒲焼と豚肉くらいです。ダイエット中でなくとも毎日というわけにはいきませんね。うなぎ蒲焼とたらこはコレステロール量からも制約が生じます。
小麦胚芽はアミノ酸スコアが80と意外に高い上、脂質も多くないのでたんぱく質給源として利用価値が高く、ダイエットに活用できれば強力なのですが60.4gを食べるのは大変で、毎日続けられる人は稀でしょう。ビタミンB1を一つの食品で摂取するのは難しいです。
食品 | 可食部重量 | エネルギー | たんぱく質 | コレステロール |
---|---|---|---|---|
まいたけ | 120g | 19.2kcal | 4.4g | |
えのきたけ | 125g | 27.5kcal | 3.4g | |
豚ヒレ肉 | 30.6g | 35.2kcal | 7.0g | |
たらこ | 42.3g | 59.2kcal | 10.1g | 148mg |
小麦胚芽 | 16.5g | 70.2kcal | 5.3g | |
さやえんどう | 200g | 72.0kcal | 6.2g | |
鶏レバー | 78.9g | 87.6kcal | 14.9g | 292mg |
豚レバー | 88.2g | 112.9kcal | 18.0g | 221mg |
豚ロース肉 | 43.5g | 114.3kcal | 8.4g | |
うなぎ蒲焼 | 40g | 117.2kcal | 9.2g | 92mg |
えんどう豆(茹で) | 111.1g | 164.4kcal | 10.2g | |
枝豆(茹で) | 125g | 167.5kcal | 14.4g | |
ご飯(玄米) | 187.5g | 309.4kcal | 5.3g |
一括して摂るのが難しいので、4点摂れば一日分を充足する、ビタミンB1 0.3mg相当量です。枝豆は鞘付きの重量で250g、ご飯(玄米)は一膳半くらいです。上記の量でまいたけは食物繊維を3.2g、えのきたけは4.9g含んでいます。
ダイエット中は野菜などを油で炒めたくないものですが、さやえんどうなどは茹でるとビタミンB群が溶け出してしまいます。電子レンジを使うか、スープなどの汁も飲める料理にするとビタミンB群のロスが少なく済みます。
レバーはこの量でもコレステロールが多いです。豚肉を食べない場合、ビタミンB1の確保はけっこう大変です。きのこやえんどう豆などを沢山食べないと摂れません。この一覧だけで、ダイエット中はビタミンB1が不足しがちであることが想像できます。
ビタミンB2が豊富な食品 一日推奨量 1.2mg
ビタミンB2はたんぱく質・脂質・糖質の代謝や呼吸、赤血球の生成、抗体の生産などに関わっていて、欠乏は口内炎、皮膚炎、角膜炎、成長停止、早期老化などの原因になります。
一日推奨量は1.2mgです。ビタミンB1と同様にエネルギー当たりの数値なので、摂取エネルギーが基準より多ければビタミンB2もより多く必要となります。基準となっているエネルギーはビタミンB1と同じく18~29歳の女性が1,950kcal、30~49歳の女性が2,000kcalです。
食品 | 可食部重量 | エネルギー | たんぱく質 | コレステロール |
---|---|---|---|---|
豚レバー | 33.3g | 42.7kcal | 6.8g | 83mg |
牛レバー | 40g | 52.8kcal | 7.8g | 96mg |
鶏レバー | 66.7g | 74.0kcal | 12.6g | 247mg |
うなぎ蒲焼 | 162.2g | 475.1kcal | 37.3g | 373mg |
うなぎ蒲焼は標準的なサイズのもの一尾でビタミンB2一日分が摂れます。レバーなら簡単に摂れますが、レバーは全く食べない人もいますし、好きであっても毎日食べる人は稀でしょう。ビタミンB2を特に豊富に含む食品は、あまり日常的ではない上にコレステロールを多く含むものばかりです。ビタミンB2もビタミンB1と同様に、料理一品で摂るのは難しいです。
食品 | 可食部重量 | エネルギー | たんぱく質 | コレステロール |
---|---|---|---|---|
まいたけ | 61.2g | 9.8kcal | 2.3g | |
豚レバー | 8.3g | 10.7kcal | 1.7g | 21mg |
牛レバー | 10.0g | 13.2kcal | 2.0g | 24mg |
鶏レバー | 16.7g | 18.5kcal | 3.2g | 62mg |
ほうれん草 | 150.0g | 30.0kcal | 3.3g | |
パセリ | 125.0g | 55.0kcal | 4.6g | |
鶏ハツ | 27.3g | 56.5kcal | 4.0g | 44mg |
しじみ | 120g | 61.2kcal | 6.7g | |
スキムミルク | 18.8g | 67.3kcal | 6.4g | |
魚肉ソーセージ | 50g | 80.5kcal | 5.8g | |
たらこ | 69.8g | 97.7kcal | 16.7g | 244mg |
鶏卵 | 69.8g | 105.3kcal | 8.6g | 293mg |
納豆 | 53.6g | 107.1kcal | 8.8g | |
うなぎ蒲焼 | 40.5g | 118.8kcal | 9.3g | 93mg |
豚ヒレ肉 | 111.1g | 127.8kcal | 25.3g | |
牛乳 | 200.0g | 134.0kcal | 6.6g | |
いわし丸干し | 73.1g | 141.2kcal | 24.0g | |
さば水煮缶 | 75.0g | 142.5kcal | 15.7g | |
アーモンド | 27.0g | 163.8kcal | 5.2g | |
小麦胚芽 | 42.3g | 180.0kcal | 13.5g |
一日推奨量の四分の一であれば選択肢が大幅に増えます。上記を4点摂れば一日分。スキムミルクは大さじ3杯くらい、牛乳は190.2ml、いわし丸干しは3尾くらい、アーモンドは23~27個程度です。
いろいろな食品に含まれていて無意識のうちに摂っているように見えますが、動物性食品に偏っています。また、野菜で摂るのは量が多くて大変そうです。ほうれん草は野菜の中では特に豊富にビタミンB2を含んでいますが、茹でてシュウ酸を出す一般的な下処理をすると、一緒に溶け出して失われてしまいます。
ビタミンB12が豊富な食品 一日推奨量 2.4μg
ビタミンB12はたんぱく質や核酸の合成、細胞の代謝などに関わっていて、欠乏するとヘモグロビンの合成に支障が出て悪性貧血の原因になるほか、神経障害を発症することもあります。一日推奨量は2.4μgです。
食品 | 可食部重量 | エネルギー | たんぱく質 | コレステロール |
---|---|---|---|---|
あさり水煮缶 | 3.8g | 4.3kcal | 0.8g | |
鶏レバー | 5.4g | 6.0kcal | 1.0g | |
牛レバー | 4.5g | 6.0kcal | 0.9g | |
しじみ | 3.8g | 10.0kcal | 0.2g | |
豚レバー | 9.5g | 12.2kcal | 1.9g | |
イクラ | 5.1g | 13.8kcal | 1.7g | 24mg |
いわし丸干し | 8.2g | 15.8kcal | 2.7g | |
たらこ | 13.3g | 18.6kcal | 3.2g | 46mg |
いか | 36.9g | 32.5kcal | 6.7g | 100mg |
牛小腸 | 11.7g | 33.6kcal | 1.2g | 25mg |
あさり佃煮 | 16.6g | 37.2kcal | 3.4g | |
さば水煮缶 | 20g | 38.0kcal | 4.2g | |
プロセスチーズ | 75.0g | 254.3kcal | 17.0g | |
うなぎ蒲焼 | 109.1g | 319.6kcal | 25.1g | 251mg |
ビタミンB12はごく少量で一日推奨量を摂れる食品がいくつかあります。5gとか10gだけ調理して食べるのは困難ですが、B12以外のビタミンBも豊富に含んでいる食品が多いので、B1やB2と一緒に摂れていることも多いと思われます。一見容易に摂取できるように見えますが、あまり日常的ではない食品が多いようです。
食品 | 可食部重量 | エネルギー | たんぱく質 | コレステロール |
---|---|---|---|---|
いか | 9.2g | 8.1kcal | 1.7g | 25mg |
ツナ缶(ノンオイル) | 54.5g | 38.7kcal | 8.7g | |
まぐろ赤身 | 46.2g | 57.7kcal | 12.2g | |
プロセスチーズ | 18.8g | 63.6kcal | 4.3g | |
鶏ハツ | 35.3g | 73.1kcal | 5.1g | 56mg |
うなぎ蒲焼 | 27.3g | 79.9kcal | 6.3g | 63mg |
鶏卵 | 66.7g | 100.7kcal | 8.2g | 280mg |
スキムミルク | 33.3g | 119.7kcal | 11.3g | |
牛乳 | 200.0g | 134.0kcal | 6.6g |
一日推奨量の四分の一であれば日常的な食品からも摂れます。一日分相当量が30g未満のものはこちらのリストからは除外しました。いかは寿司一貫で摂れそうな量ですし、プロセスチーズも脂質の摂り過ぎを心配しなくともよい量になりました。スキムミルクは大さじ4杯少々です。
お気づきかと思いますが、全て動物性の食品です。野菜や果物のみならず、玄米や小麦胚芽にも含まれておりません。比較的少量の食品で確保できますが、確実にたんぱく質給源に組み込んでいかなくては推奨量を摂れません。
ビタミンB群の不足を防ぎ代謝とエネルギー生成を維持するために
いかがでしたか?ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12の一日推奨量摂取が意外に大変で、本当に不足しがちであることがご理解いただけたと思います。
食事を制限してカロリーを控えても、代謝が低下してしまっては消費カロリーが減って効果が上がりません。この目安量を活用してビタミンB群を確保し、代謝を維持してダイエットを成功させましょう。
参考資料
- 厚生労働省 日本人の食事摂取基準2010
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html - 文部科学省 日本食品標準成分表2010
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1298713.htm